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ロシア演劇情報

リュビーモフ辞任の背景

2011/06/28
 日露演劇会議事務局

「タガンカ劇場の俳優はリュビーモフを悪い支配人だと考える」
(「VESTI」からの抜粋)

俳優のひとりが「ロシア24」(テレビ番組)のインタビューに応じた。
(チェコの稽古の場で)ロシア功労俳優イワン・ルィジコフがリュビーモフに言った。

「リュビーモフ、私たちのお金を私たちに払って下さい」と。
「せめて、いつどんな形で支払うつもりであるかを教えてください。誰もあなたから芸術監督の座を奪い、そのお金をとろうとはしていません」
そのとき、たいして魅力もない、正直に言えば、しょっちゅう俳優に罵詈雑言を投げつける演出家の妻が叫んだ。
「私は侮辱された!」

「劇場は確かに提唱者のものです。それについて私たちに異論はない。しかし提唱者のものであることと、独裁とはまったく違うものだ。メイク、衣裳、テクニカルなどの全劇団員が、リュビーモフに対して、これ以上私たちをおとしめないで欲しい、と言っているだけ。私たちと働きたくないのであればどうぞ。演出家としてのあなたとなら一緒に働いてもいい。しかし、支配人としてはご免だ。彼はやり過ぎた、劇場支配人としては最悪だ」
と俳優セルゲイ・トリフォノフは語った。

女優アナスタシア・コリコワは言う。
「彼はスキャンダルを起こすつもりはなかったはず。私たちはユーリー・リュビーモフを尊敬していますし、優しく接しています。ギャラ値上げについて話が上がったことはありません。ただ、モスクワで支払われたのは日当だけで、リュビーモフはそれで充分だと思ったのでしょう。あの日、俳優は自分のお金を遣いきってしまったので、彼に残りはいつどうやって支払われるのかと聞いただけです。答えは、『モスクワで6600ルーブル支払われたはずだ』ということでした。リュビーモフはそのように強引にけりをつけてしまったのです。まるで両親が離婚するようなもので、子どもは黙るしかない。私たちにとって劇場は母であり、ユーリー・リュビーモフが父なのです。もちろん、このような別れ方を望みません。」

もう1人のタガンカの女優エカテリーナ・リャブシンスカヤは語る。
「これは挑発ではない。みんなが貶められたり、騙されたりして、その見返りを得ようと、つまりリュビーモフを辞めさせようという目的でみんなが賛同した結果です。出張公演の度にお金に関わる問題が起きていました。出張公演はすべて公式的に行われ、劇場内では『イメージ戦略』と呼ばれていました。つまり俳優
に出演費は支払わないのです。もちろん受け入れ側は出演費を支払っています、しかしそれは俳優にまで届かないのです。(→搾取されているという意味)
劇団員は黙っていました。それはリュビーモフを尊敬していたからです。しかし、彼はやりすぎました。統率者は信頼されなくてはなりません。しかし信頼を失ったら、問題が起きるのです」
(翻訳:国際担当理事・田代紀子)