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活動報告

オムスク・ドラマ劇場130周年祭レポート

2005/01/04
 日露演劇会議事務局

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2004年5月27日に開催されたオムスク・ドラマ劇場の130年祭に出席した日本人は7名。東京芸術座の女優・荒木かずほさんとご友人。荒木さんは、日本でも上演された安部公房作・ペトロフ演出の『砂の女』の主演女優。初演以来、この劇場でしばしばこの舞台に出演し、あろうことかロシア演劇界最大の栄誉「黄金のマスク」賞主演女優賞を獲得した人でもある。そして、当会からは、オムスクと縁の深い理事の松下芳江、村井健、山田ちよ、田代紀子、通訳の野崎美子(04年秋入会)さんの5人。メインイベントは夕方6時から。といっても外は陽光さんさんたる青空。どこが夕方だ! といった雰囲気。劇場の裏手で時間つぶしをしていると、5時半ごろから、来るわ来るわ招待客が。前総支配人のボリス夫妻はもちろん、元主任演出家のペトロフや、名も知らぬ元何々などが思い思いの盛装で。プラス役者たちやマスコミ関係者、行政、文化関係者……など。やがて劇場に入れば席は3階までびっしりだ。われら日本人の席は、下手前。チケットでいえばSS席といったところ。支配人の気遣いがよく分かる。その右手にはイタリア代表、ドイツ代表など。劇場の役者や演出家たちは全員舞台の上だ。

記念祭のフィナーレ!

記念祭のフィナーレ!

第一部のテーマは、「ノスタルジー」。劇場の歴史をたどるという趣向だ。スクリーン上には古い写真や映像が映し出され、かつての名場面、名女優・男優の姿が次々に映し出され、現役の役者たちの出たフィルムのところでは、当のご本人たちがフィルムと同じ場面を演じてみせるという凝った演出。いつの間にか、舞台上も客席も一体となってこの演出を楽しんでいたことはいうまでもない。第二部はいわゆるセレモニー。州政府、演劇人同盟、各劇場からのメッセージ。さらには、日本、イタリアなどからの挨拶と続く。なかでも面白かったのは、各劇場のメッセージ。メッセージといっても単なる挨拶ではない。「オペラ座の怪人」の曲に乗っての替え歌あり、愉快でとぼけた1人芝居ありと、じつに多彩だ。当会代表の村井の挨拶のさわりは「ロシアのオムスク・ドラマ劇場から世界のオムスク・ドラマ劇場へ!」とのエール。もちろん、拍手が湧き起こりました! 実際、この劇場のレベルはロシアのなかでも特筆に値するものばかり。『グリーン・ゾーン』や『ワーニャ伯父さん』などは出演者の個性とアンサンブルの行き届いた優れもの。そのほか、不条理劇から喜劇まで、モスクワの劇場でもちょっと味わえない高レベルのものです。これらのレパートリーを見たなら、日本の演劇関係者は肝を潰すでしょう。
ともあれ、劇場でのお祭りが終わったのは9時過ぎ。その後、西日の中を全員ぞろぞろと歩いて移った先が、オムスクでいちばんのレストラン。もちろん劇場の借り切り。今夜は、ここで存分に飲み、食べ、踊るというブレークタイムだ。宴が終わったのは、すでにシンデレラ・タイムを過ぎたころ。しかし、お祭りはそれで終わりかというとそうではない。翌日は、昼から恒例の川遊び。大型遊覧船を借り切り、イリティッシュ川を遡り、バーベキュー大会。これがまたおいしい。生のキュウリに塩をつけボリボリ。そして肉をガツガツ。ロシア人のタフさの秘密と早死にの秘密はウオッカだけのせいじゃないだろう。一方、真夏を思わせる太陽に照らされて、こっちはくたくただったが、ロシア人は男女とも水着に着替え平気でじゃぶじゃぶ、だ。私は、満腹。木陰でうたた寝と逃げました。帰港したのは夕方の5時。こうして130周年のお祭りは無事、終了。パワフルな、そして魅力的なフェスティバルにはまったく圧倒されてしまいました。
いずれ機会を見て、この劇場の素晴らしさを日本の皆さんにぜひご紹介したいものです。