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活動報告

モスクワ訪問記(6)

2015/04/29
 日露演劇会議事務局

こうしてケンさんの駆け足モスクワ・ツアーは終了したのだが、それにつけてもと思うのは、やはりロシア演劇の教育システムの充実ぶりである。

日本のように正規の演劇教育を知らない演出家が教えたり(まあ、まともな演劇大学が皆無なのだからしようがないのだが)、体系性のない教育をして、したり顔をしている光景を見ると、これで日本の現代劇が発展することは「当分ないだろうな」
と妙に確信してしまう。

これは新国立の演劇研修所も含めてのことである。
あれは「体系」だったものとはいえない代物だ。

第一、教えている教師たち(俳優や演出家)がモスクワやサンクトの演劇大学を訪問し、その教育システムを参観することすらしていない。
自腹を切って学ぼうという姿勢がないのだ。
科研費を使う手もあるのにそれをしようとはしない。

根がケチなのである。
おまけに、自分が何も知らないことを知りたくもない。

教わる生徒に思わず同情してしまうが、教わるほうも外のことが分からないから、それでよいと思っている。
こうして、卒業間際には、タレント演出家に卒業後も使ってほしいという思いですり寄り、演出家にすれば「使い勝手のよい」役者が出来上がることになる。

何のことはない、悪貨の再生産だ。
そこで、ケンさんは「日露演劇会議」の主催で近い将来、
「行きたい、見たい」
という人間のみを集めて「ロシア演劇教育の視察ツアー」を行なおうと思った。

(写真は、以前見たジェノバチ演出の「ディケンズ」の舞台。導入部だ。どうです、見たくなるでしょう!)

イメージ 1

これは、数年前に現役の演劇教師を集めて行こうとしたのだが、
「自腹は切れない、学校が忙しい」
と散々好き勝手を言われ実現しなかったものだが、もう、そういう手合いの教師は切り捨て、
「本当に知りたい、見たい」
者たちで行こうと思うのだ。

向かうは、モスクワの主要演劇大学の連日見学と夜の観劇である。
ロシアの演劇教育家との懇談会もありだろう。

もちろん、こういう試みに文化庁や交流基金はお金を出してくれないから、全員自腹ということになる。
要は、身銭を切ってでも知りたいという「欲求」を持っている者だけに「参加資格あり」ということになる。

いずれ、実行する時には告知する。
ただし、これまでの経験から、日本人は本当にケチで、学ぶことにお金をかけたがらないことを知っている。
おそらく数名しか集まらないだろう。
「でも、いいか」
とケンさんは思うのである。

ナム!