モスクワ訪問記(4)
最悪の観劇を体験した翌日、ケンさんは、ライキンのサチュリコン劇場を尋ねた。
名優ライキン、日本で言えば藤山寛美のような自在な演技を見せる俳優の主催する劇場だ。
実は、この劇場、演劇大学・ホテル・ショッピングセンターまでも所有するユニークな劇場なのだ。(下の写真がライキンの演劇大学外観)
どうしてこんなことができるかといえば、政府の助成金とは別に独自のファンドを持っているから、とのこと。
助成金頼みの劇場経営から抜け出した自立型の劇場経営が行なわれているのだ。
これは、ロシア演劇の資本主義化の一つの表れだろう。
こうした動き、ライキンの劇場だけではない。
先に紹介したエレクトロ劇場も、ジェノバチの劇場も、独自のファンドで経営されている。
日本と違い、演劇を支援するお金持ちがいるのである。
彼らが、劇場を支援し、その支援を受けて、上演活動が行われている。
ジェノバチの場合、その才能にほれ込んだ支援者が劇場まで造ってくれたのである。
ライキンの場合も、そうだ。
大学まで造ってしまった。
もちろん、パトロンたちは上演活動に口出しはしない。
考えてみれば、かつてのモスクワ芸術座も、そうした多くのパトロンに支えられて出発した。
国家助成は、ソ連時代の話だ。
そのソ連が崩壊し、国からの助成も年々減少し、それにともない、独自のファンドをもとに上演活動を行う劇場が増えてきたのである。
それにしても、パトロンのスケールが違いすぎる!
ナム。
(「村井健が行く」http://blogs.yahoo.co.jp/pu_sikin/MYBLOG/yblog.html?m=lc&p=4 )