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主催事業

2010年国際部事業報告

2011/01/11
田代 紀子(コーディネーター/常務理事)

社団法人日露演劇会議として1年目の2010年、国際部に託された主となる事業は二つ。ともに、日露創立以来10年間の日露交流の蓄積があったからこそ、また各関係者のアイデアと力添えがあったからこそ成し得ることが出来たと思います。

1つ目の事業は、八王子車人形のロシア公演ツアー。これは、数年前オムスクの人形劇場「アルレキン」より日本の人形劇をロシアに呼びたいとオファーがあり、2007年、日露がサポートする形で「ひとみ座・乙女文楽」シベリア4都市を回る訪ロ公演を実施、翌2008年、同様に「京楽座・しのだづま考」シベリア公演をサポート。

見事、審査員特別賞を受賞(右端、西川さん)

見事、審査員特別賞を受賞(右端、西川さん)

そして続く2009年に八王子車人形を、のはずでありましたが、残念なことに文化庁の支援が受けられず1年延期。そこで、ロシア側招待可能な10名枠で且つ面白い出し物はと考え、世界でも稀な異なる3種類の技法と日本の郷土文化を紹介する「日本の伝統人形芝居」(八王子車人形西川古柳座(東京・車人形)、西畑人形芝居朝日若輝一座(香川・棒遣い)、あやつり人形劇団みのむし(兵庫・糸操り人形)として企画、目出度く、文化庁の助成を受け「八王子車人形・日本の伝統人形芝居」ロシア公演が実現しました。

9月9日から20日間、オムスク、エカテリンブルグ、ヤロスラブリ、ルィビンスク、モスクワの5都市を回り、全10回公演、ワーク2回、どの回も好評でほぼ満席、到着日にはどの劇場もチケット売れ切れという状況でした。エカテ人形フェスでは、「伝統への忠実」に敬意を表して審査員特別賞を3座が受賞。ルィビンスクは初めての都市でしたが、小さな町で、ひとも観客も温かく、気持ちの良い公演でした。参加メンバーが「こんなに楽しく、こんなに美味しく、またこんなに素晴らしい経験をさせていただいた旅は今回が初めてです」と喜んでくれたことが何よりでした。また、オムスクでは、オムスク州文化省テレブノイ長官から村井理事に宛てた感謝状を受け取りました。

2つ目の事業は、オムスク第五劇場来日公演。青年劇場と日露演劇会議の共催で赤字覚悟の無助成公演。日本と長年交流を継続してきた第五劇場ユルコーワ支配人率いる劇団員13名とウランウデから客演で呼ばれたオレグ・ユモフ演出家、総勢15名が来日。演目はメイエルホリドの構成台本によるチェーホフの小品3作(熊、記念日、結婚申し込み)、題して「33回の失神」。来日前の打ち合わせでは、日本側で用意するものリストの多さにスタッフが頭を抱え、それこそ33回以上の失神を繰り返し、それでも何とか楽器も揃え、自転車も用意し、無事に芝居の幕を開けることが出来ました。会員の皆様の宣伝協力により、11月20日から23日、青年劇場スタジオ結(キャパ70)全6回公演で416名のお客様に観劇いただきました。

無謀とも言える無助成公演が二桁の黒字で締めることが出来たのは、ひとえに無報酬にも関わらず舞台を支えてくれた青年劇場のスタッフ、通訳グループの皆々様の並々ならぬお力添えがあったからに他なりません。宿泊先や食事手配には問題点もありましたが、とにもかくにも、準備しただけの結果は残すことが出来ました。反省点は次回に生かし、今後とも国際部の活動を続けていきます。

以上