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主催事業

第4回演劇教育研究会報告

2014/04/21
 日露演劇会議事務局

第4回演劇教育研究会のご報告

「セリフにまつわる問題について〜その2」  担当理事:守輪咲良

4月5日(土)15:30よりJOKO演劇学校(池袋・みらい館大明)206番教室にて第4回演劇教育研究会が開催されました。参加者は、谷山和夫さん、菊池准さん、西村洋一さん、松本永実子さん、守輪の5人。

今回は昨年12月の研究会で話し合われた「セリフにまつわる問題について」に引き続き、その2として、「俳優が役を自分に引きつけすぎる場合と、逆に役を自分から切り離して演技する場合」の問題が取り上げられ、いつもより1時間延長し3時間近くにわたって話し合われました。以下、大雑把ではありますが、内容をまとめてご報告致します。

1.「演劇の定理が変わってきている」ことについて。

・日常のなかに溢れる非日常的なファッションやメーク、アニメ世界の影響、ヴァーチャル世界、性の転換や中性化など、生活のなかにリアリティを探っていくことの難しい時代に生きている若者たちにとって、「役」を自分から切り離す演技も自分に引きつける演技もその演技が生まれてくる背景は同じであり、スタニスラフスキー・システムが追求する自分の体験を通して「(自分ではない)役」を演じることが難しくなっているし、これから益々難しくなっていくだろう。

・自分に役を引きつけすぎる結果、作者の意図とは別の作品になってしまう場合がある。

2.日本特有の演劇事情について。

・若者たちの表現形式は益々多様化してくる傾向にあり、消えたり生まれたりしながら流動的に続いていくのだろう。〈なんでもあり〉の日本の演劇事情のなかでスタニスラフスキー・システムに則った演劇づくりも、そのなかの一つとして続けられていくのではないか。

3.システムの基本となっている「the magic if」について。

・スタニスラフスキーのもっとも基本となっている「魔法のもしも〜」だが、舞台上で「与えられた状況」や「与えられた環境」に生きなければならない俳優にとって、自分自身が 不確かである現代、何を頼りに自分の信じられる演技を創造していったら良いのか?

・ ストラスバーグのメソードでは「感覚」の訓練※が重要視されており、「生きた演技」の基盤になっている。

(※感覚への集中だけではなく、心身のリラックス、身体の動き、声、感情、言葉、思考などが統合的に行われる訓練。)

など、など。

研究会は今回で4回目となりました。しばらく雑談形式で話し合い、まずは参加者同士のコミュニケーションを図ろうという方針で続けてきましたが、自由に質問したり話したりする場にはなってきたように思います。しかし、本音で突っ込んだ話し合いに至るには、もう少し回を重ねる必要があるし、話の内容をしぼっていく必要があるような気がします。参加者の数がもっと増えていくためには何が必要かも考えていきたいと思います。皆さまのご意見をお寄せください。