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主催事業

報告 第3回「演劇教育研究会」

2013/12/25
 日露演劇会議事務局

(社)日露演劇会議主催 第3回「演劇教育研究会」(報告者:守輪咲良理事)

「セリフにまつわる問題について」

 本年3月23日、第1回目のシンポジウムが開催された「演劇教育研究会」は、12月8日(日)15:00〜17:00、JOKO演劇学校(池袋・みらい館大明)の教室にて第3回目を迎え、「セリフにまつわる問題について」が話し合われた。

参加者は、演出家、批評家、翻訳家、ヴォイストレーナー、リーディングトレーナーなどの計7人。前回に引き続き、全員で机を囲み、ディスカッション形式で話し合いが行われた。

まず「俳優が声を張る問題」について問題提起があり、舞台上で耳をふさぎたくなるような大きな声で演じる俳優たちの話や、内面とつながらない「声を張る」問題などが取り上げられた。

・ 日本人のメンタルな問題なのではないか?

・ 観客に伝えなければという「思い」なのではないか?

・ 内面が足りない不安から声を張るのか? つまり、大きい声を出していないと不安なのでは?

・ 張りっぱなしで演技している場合もある。

・ 舞台を観ていて、セリフの「語り」であって「演技」になっていないのではないかと思うことがある。

・ 演技とはそういうものだと思っているのでは?

・ 演技の基礎訓練の問題ではないか?

・ 逆に声(セリフ)を内側に入れるため、表現が外側に伝わっていかない俳優の問題もある。

・ ロシアの俳優教育には「レイチ」という演技話法があり、声、身体、内面をつなげる総合的な訓練方法がある。

などなど、いろいろな話が出たが、結論として──

俳優自身の演技における問題意識をもっと高め、声、身体、言葉などが内面的につながった訓練法が日本にも早急に必要! と言うことか。

ほかに、俳優が「台本のセリフを変えても良いか?」の問題について。

・ 作品が翻案か、翻訳かの場合にもよる。

・ 本質をとらえるために、俳優が自分の言葉に変えることはよくある。

・ ロシアの演劇大学ではどうなのか? 自分の言葉に変えて本質を探る場合もあり、セリフ通りにやる場合もある。

 この辺で時間切れとなった。

最後のセリフについては、俳優の読解にもつながる問題であり、充分話し合われたとは言えない。

2時間があっという間に経ち、話に結論はないが、セリフの問題にしろ、声の問題にしろ、内面との結びつきが重要なわけで、俳優の「楽器」の問題として全体的に捉えていくことが必要なのではないか。その意味でも、言葉や声などの指導者と共に話し合う機会はこれからも必要だし、次回は是非、身体的な「動き」の指導者にも参加していただけたらと思う。