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劇作家ヴィルィパエフ、上演料を全額ウクライナに寄付、ロシアの国立劇場にこの意向を明かした書簡を公開

劇作家ヴィルィパエフ、上演料を全額ウクライナに寄付、ロシアの国立劇場にこの意向を明かした書簡を公開

2022/03/17
 日露演劇会議事務局

劇作家で演出家のイワン・ヴィルィパエフ氏は、自らの作品を上演する国内40の国立劇場に向けて公開書簡を公表した。その中にはチェーホフ記念モスクワ芸術座、ボリショイ・ドラマ・シアター、諸民族の劇場、「ソヴレメンニク」、メイエルホリド記念センターに加え、地域を代表する数十もの劇場がある。書簡の中でヴィルィパエフ氏は作品の上演料をウクライナ難民の支援財団に寄付することを明らかにした。「メドゥーザ」は書簡の全文を公開する。


親愛なる同僚の皆さま

皆さんの劇場では私の戯曲、ときには複数の戯曲が上演されています。皆さんと交わした契約により、皆さんはシーズンごとに上演料をお支払い頂いていますが、それはチケット収入の一部です。

皆さんの劇場はロシア政府の(文化)省や、皆さんの街にある文化庁によって支援されていますが、つまりは国家に支援されているということです。そしてその国家は現在、ウクライナ国民を相手に罪深い戦争を仕掛けており、その市民を殺害し、都市や農村のインフラを破壊しています。私には決意があり、それをお伝えしたいのですが、私は皆さんの劇場から私が受け取る全ての資金をウクライナ支援基金に寄付します。強調しておきますが、これらの資金は当然ながら平和目的にのみ使用され、いかなる場合にも軍事目的に使用されることはありません。 

私たちの資金はウクライナの難民、子ども、母、この支援をいま必要とする全ての人に届けられます。このように、ロシア連邦の文化予算から得られた資金が、ロシアの蛮行に苦しんだ、そして今もなお苦しんでいる人々に公平な形で分配されることをうれしく思います。私は皆さんと一緒に獲得した資金がいかに利用されるかを詳しく報告差し上げます。

私の戯曲のチケットを購入する観客の皆さんには知っておいていただきたいのですが、私の戯曲を基に上演される作品のチケットを購入される際、皆さんは悲劇のような苦しみを耐えているウクライナの人々に、各自にとって無理のない支援を行い、ロシアがウクライナにもたらしている途方もない損失の一部をある程度は(もちろん、それは途方もなく少ないのですが)補償しているわけです。

特に私はこの計画についてボリショイ・ドラマ・シアター、諸民族の劇場、モスクワ芸術座に伝えられることが嬉しいです。というのも、これらの劇場から私が得る上演料は、その他の劇場から得る上演料を全てあわせた額よりも遥かに多いですから。このように、皆さんと一緒に私たちは、いつかロシア国民が一丸となって進める事業(そうなると私は深く確信しています)を一足先に始めましょう。

この手紙はメディア、SNS、私のサイトで公開されます。従って、私たちが共に始めるウクライナへの支援運動はロシア国内外で注目されるでしょう。共にいてくれて、ありがとう。