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会員関連

猫に小判か、馬の耳に念仏か

2012/06/14
 日露演劇会議事務局

今年になってからケンさんは何本かのロシア戯曲の舞台を見た。
そして、思った。

「もう、いまの日本の演出家と俳優の力ではろくなものができない」
と。

それほど、レベルが低いのだ。
愕然とする。

何もロシアの舞台が特別優れているというのではない。
ロシアにだって、欧米にだって屑のような舞台はいくらでもある。

しかし、それに比べても日本はひどい。
やるほうもだが、観客もひどい。

箸が転げても、の類である。
感性の劣化はとどまるところを知らない、といってもいい。

そんな時に、じつに刺激的な本が出た。
ディヴィッド・アレン著・武田清訳『チェーホフをいかに上演するか』(而立書房、2000円)だ。

『チェーホフをいかに上演するか』表紙

ケンさんは、これをゲラで読んだ。
オビ文を頼まれたからである。

そして、一読、以下のような一文を書いた。

誰にも読ませたくない、
目から鱗のすぐれもの。
スタニスラフスキー、メイエルホリドから現代まで、英米露の演劇の巨匠たちはチェーホフをいかに読み、上演してきたのか。文学的分析ではなく上演のための演劇的分析とはいかなるものかを示す最良のテキストがやっと翻訳された。これは凡庸な日本の俳優・演出家・演劇ジャーナリストへのまたとない福音だろう。ただし、効果があるかどうかは分からない。馬の耳に念仏、猫に小判ということもあるからだ。
できれば誰にも読ませたくない、目から鱗のすぐれものである。 

と。
誇張ではない、本当にそう思ったのだ。
しかし、オビにも書いたように、読んでもこれを生かせる力があるかどうか。
いまの日本の演劇界を見ていると、はなはだ心許ない。

ナム!

http://blogs.yahoo.co.jp/pu_sikin