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会員関連

二兎社創立30周年『シングルマザーズ』上演中!

2011/03/08
 日露演劇会議事務局

『シングルマザーズ』の舞台

今年、私の主宰する劇団二兎社は創立30周年を迎えました。今、その記念作品『シングルマザーズ』を上演中です。

主演の沢口靖子さんは、初めてご一緒したんですけど、研究熱心な方で驚きました。シングルマザーについての資料の読み込みはもちろん、彼女の演じる役が簿記2級の資格があるということで、簿記の勉強まで始めてしまうんですから。モデルになったシングルマザーの当事者団体の集会にも参加するし、DVについての本も熟読、DV被害者にも会って取材。昨日はシングルマザーの団体が発行した調査報告書を2冊注文、もう幕があいているのにですよ。毎日台本に付箋を貼ってきて、「永井さん、ちょっと」と声をかけてくる様子は、『こんにちは、母さん』での加藤治子さんの気迫を思い出します。

吉田栄作さんも、役に関係するDV加害者の男性を徹底取材。日ごとにその方と似てくるのがちょっと恐い。国民的アイドル時代を経たお二人が、今なお第一線で活躍している理由は、役の背景を探ろうとする、こういう姿勢にあるんじゃないでしょうか。

私は毎日、客席の最後部で舞台を見つめています。最後部のお客さんが舞台に集中しているかどうかで、その作品の吸引力がはかれるからです。今回はどうかと言えば、それはヒミツ。ぜひ客席で確かめてください。池袋の東京芸術劇場小ホール1で3月27日まで上演中です。http://www.nitosha.net/ 全国ツアーもありますよ。

もう一つお知らせ。早稲田演劇博物館で「永井愛と二兎社の世界~30年の軌跡をたどる」という企画展(3/1~8/7)が始まりました。チラシ、ポスター、舞台写真などのほかに、二兎社思い出の品が順次展示される予定です。と言っても、私にその勇気が出たらですけど。

たとえば、私の第一作『アフリカの叔父さん』の下書きノートなどは、捨てられないけど、人に見られたらどうしようといった代物。30歳を迎えようとするオトナがこれでいいのか、よくこの程度で書き続けたなという感想が出るのは必至。ちょうど岸田戯曲賞の審査で、人様の戯曲にあれこれ言わせていただいた後だけに、恥ずかしさもひとしおです。

ですので、これが出るとは限りませんが、自分の歩みを振り返るからには、冷や汗の出るような過去も見落としてはならないと思っています。過去作品のビデオ上映、大石静との対談も予定されていますので、ぜひ皆さん、お越しください!