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主催事業

2014年度「ハイスクール・ドラマキャンプin SAPPORO」

2014/08/17
 日露演劇会議事務局

2014年度「ハイスクール・ドラマキャンプin SAPPORO」が終わって       担当理事:守輪咲良

'14北芸3

7月22日23日の2日間にわたって、社)日露演劇会議主催「高校生のためのハイスクール・ドラマキャンプ」が札幌の北海道芸術高等学校で開催された。今年で3年目になる。1年2年3年と各5名ずつ、計15名の参加であった。

ドラマキャンプはヴォイスと演技の組み合わせになっていて、それぞれ午前中2時間、午後2時間の計4時間。ヴォイスは、第1回第2回とやまもとのりこさんが担当されていたが、都合により、やまもとさんが担当できなくなったため、今回は西村洋一さんにお願いした。

【西村洋一さんからの報告

今回はじめて担当して、ロシアの演劇大学で教えられている、レーチというヴォイス系の訓練を行った。レーチは、発声や滑舌から始まり、最終的には台詞への取り組み方までをカバーする。わたしの印象では、声の方面からスタニスラフスキー・システムを習得するためのもの。

午前中は主に基礎的なトレーニング。レーチでは、身体全体を使って声を出せるようになるために、とくに基礎的なトレーニングの際は、身体を動かしながら行なうことが多い。生徒たちは楽しそうに取り組んでいたが、意外と身体的に負荷はかかったようだ。

北芸1

午後は、短いダイアローグを用いて、声と言葉で相手と交流する訓練を行った。これには、生徒たちはなかなか苦戦していたようだ。声優科なので、滑舌はよいし台詞を表現力豊かに語ることもできる。大きな声も出せる。ただ、台詞を使って相手役に働きかける、ということが最初はうまくいかなかった。悪戦苦闘すること1時間、ようやく理解できてきたようだった。声優であっても、相手に働きかけている、という意識を持ちながら取り組むことが、結果的にはよりよい表現につながる、ということは伝わったのではないかと思う。

生徒たちは素直で吸収力もあり、また熱意もあって、やりがいのあるワークショップだった。

守輪の報告

昨年のドラマキャンプのとき、生徒から台本をつかったワークショップもやってみたいと希望があったため、今年はごく短い2人用の台本を使ってみることにした。しかし、短い時間内で15名の高校生を対象に「演技の基本」の何をどう伝えられるか・・・、一番分かって欲しいこと(大人の場合、そこが一番難しいのだが)に体当たりしていくしかないが、頭で分からせたのでは失敗で、実践で分からせられるかが問題だ。

初めに台本を読み合わせしてもらうと、いかにもセリフらしいセリフを読んでいる。次に舞台に出てお互いやり取りしてもらったが、まさしく頭で覚えたセリフを言い合っている。

北芸4

 「メソード演技」の場合、暗記したセリフを言うことを避け、台本に書かれている設定にそったインプロヴィゼーション(即興)から始める。スタニスラフスキーの基本だが、どこにいるのか、なぜここにいるのか、相手が誰で、今、何をしているのか・・・などの考えに集中し発見していく。

やり方を間違えると頭でっかちになってしまう。舞台上に「いる」感覚は自分が実際に行ったことのある場所を選ばせ、そこにいると何が見えるか、何が聞こえるかなど感覚に集中するように指示していく。

驚いたことに最初にやった3年生はあっという間に集中しはじめ、相手と自然にやりとりをはじめた。実に自然に何の抵抗もなく与えられた設定に入っていく。1年生は少しギクシャクしてしまって、うまくいかない自分との葛藤がみられたが、それでも懸命にその場にい続けた。

導入で、俳優には舞台上で考える力が必要であること、そして子供の遊びのなかにある想像力について話したが、果たして生徒たちに何か伝わったのか・・・。若い人たちの素直な感性と吸収力に驚かされた。

後日、担当の先生からは「生徒も多かれ少なかれ気付いたことがあったようでした。今後の演技の勉強にぜひ活かして欲しいと思います。」とのお礼が届いた。これから届くことになっている生徒たちからのアンケートに何が書かれているかは、まだ分からない。