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主催事業

13年度「ハイスクール・ドラマキャンプin札幌」

2013/08/27
 日露演劇会議事務局

13年度「ハイスクール・ドラマキャンプin札幌」を終えて

札幌の北海道芸術高校から7月の「ハイスクール・ドラマキャンプ」の写真が届いた。昨年に引き続きワークショップはこれで2回目だが、「来年も」という言葉をいただいたので、今後、交流が深まっていかれるよう心から願ってやまない。
 
今年3月に札幌駅前付近にあった校舎が大通り公園のはずれの方に移って、学校はりっぱな建物になっていたこと、昨年担当してくださった先生は今年できたばかりの横浜校へ転勤され、新しい先生に変わったことなどがあったので、気持ちを新たにして生徒たちと対面した。
 

まず、7月22日(月)ヴォイス(やまもとのりこ)の報告から
 
参加者は15名、2年生が多くその半数が昨年の参加者だった。大変積極的な印象で良かったが、声を出すことに関して頑張り過ぎている気もしたので、今年は「響き」をテーマにして「自分の声が自分の身体を振動させ、聞く相手を包み込む」感覚を体験させ理解してもらおうと考えた。
「息の深さ」は身体のリラックスや内面の表現にも重要なので時間を掛けたが、「その息をそのまま声(振動)にする」方法で声が変化する人が多く、今後もその方法を自習できるように繰り返した。

後半は数編から好きな詩を選ばせてことばの実感にこだわったり、それを「人に聞かせる」(内容を届ける、響き合う)ことを考えてもらった。
アンケートを見ると『習ったことを自分なりに繰り返している』とあったので、出すことだけにならず相手の様子を受け取る「交流」の始まりになればいいと思った。

次に、7月23日(火)演技(守輪咲良)の報告から
 
午前中2時間、午後2時間という短い時間でやれることはごく限られているので、まず今回のワークショップでやろうとしていること、「表現」について少し話した。感情表現の前に身体表現をしっかりやろう。その前に自己表現ができているだろうか・・・など。俳優が普段からどのように人や物を見るのか・・・これも大切な基本なので、主観、客観の話もした。
 
この学校では平素、「メソード演技」というかスタニスラフスキーの基本が指導されているので、私の言葉は一人一人にすうっと入り込んでいくようで、実践に移っても一人ずつどんどん前へ出て行って、出された課題をやりはじめるのが気持ちよい。
 
普通高校の演劇部などで、毎年、高校演劇の大会への参加が活動のメインになっていて、入賞をめざす学校などではなかなかこうはいかない。
この学校も一度は大会に参加しようかと検討したそうだが、「価値観の違う審査員たちに評価される」ことへの懸念があってやめたそうである。
いろいろな話から、学校の方針、指導する先生の姿勢に共感することが多かった。かなり稀なことだと思う。
 
生徒からのアンケートも届いたので少し紹介すると・・・、
 
「自分がどんな風に生活しているのかというのを、ちゃんと覚えておく大切さをまた改めて再確認する事が出来ました」
「自分でやっている感覚と、見ている人との感覚のズレを知ることができました」
「大事なのはやってみることだと思いました」
「もっと他の人に興味を向けるだけでもこんなに違うのかと実感しました」
 
この日のエチュードの課題は「着替える」。着替えを2つの違ったシチュエーションでやってみたが、それについての生徒の感想・・・、
 
「初めて制服を着たときの嬉しさや楽しさを表現しようというのは、しぐさや表情に表れて、身体表現は感情表現よりも先にやることだと思いました。」
 
始めの「表現」の話が実践で上手くつながったようだ。
その他、自分の発見を前向きに捉える素直な内容が多かった。
 
さて、今年の2年生は来年の3年生。来年の再会が楽しみである。
 
 (報告者 ワークショップ担当:常務理事 守輪咲良)