名優タバコフの記念碑、ノヴォデヴィチに立つ
ユネスコの世界遺産にも登録されているノヴォデヴィチ修道院の墓地(モスクワ市南西部)にロシア演劇界の巨星、オレグ・パーヴロヴィチ・タバコフ(1935-2018)の記念碑が建立された。
タバコフはソ連人民芸術家(日本の人間国宝に相当)の称号を受けた俳優で、モスクワ芸術座付属演劇学校の学長、およびモスクワ芸術座の芸術監督を歴任したほか、オレグ・タバコフ・モスクワ劇場の創設者としても知られている。ロシア連邦大統領府文化芸術評議会の委員も長年にわたって務めた。タバコフは2018年3月12日に82年の生涯を閉じた。
タバコフの記念碑は濃い緑色の大理石とガラスで作られ、画家のニコライ・スミルノフ氏と彫刻師のアンドレイ・ナリチ氏が制作を担当した。
夫に先立たれたズージナさんは故人の記念碑について、次のように語った。
墓地に建てられる記念碑のなかに、オレグ・パーヴロヴィチ(タバコフ)の明るさを表現するのは大変な困難でした。私はこの記念碑に命が宿ることに期待しました。
このようにズージナさんは語り、大理石の緑色に込められたメッセージを明らかにした。
記念碑の除幕式にはタバコフの教え子たちも集まった。除幕式に出席したタバコフ劇場のウラジーミル・マシコフ芸術監督は取材の中で、故人の言葉を伝えた。
命とは個人の中で完結するものではない。だから命なのだ。このようにオレグ・パーヴロヴィチは言いました。ここにはオレグ・パーヴロヴィチの友人、親族、教え子が集まりました。教え子のさらに教え子も集まったこと、それが重要です。
このようにマシコフ芸術監督は語り、タバコフの伝統を現代ロシア演劇が受け継いでいることを強調した。
タバコフはソ連、ロシアを代表する俳優。「機械仕掛けのピアノのための未完成の戯曲」(原作チェーホフ)や「オブローノフの生涯」(原作ゴンチャロフ)でその名演技を世界に知らしめたほか、声優としても活躍した。
ソ連時代に制作されたアニメ「プロストクワシノの3人組」(原作ウスペンスキー)ではネコのマトロスキンを担当し、人気を博した。このキャラクターは今も親しまれており、ロシア社会で様々な商品のマスコットに使用されている。