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会員関連

キルギスの野外劇(2)

2011/12/16
 日露演劇会議事務局

翌日。フェス2日目。今日は晴れ。

10時、ロシアドラマシアターのマールイ劇場。準備が終わらず、しばし通路で待たされました。ウズベクの劇団による一人芝居。編み物をほどいていくアイデアはよかったのですが、それが特に効果を生んでいなかったのが残念です。

12時、ロシアドラマシアター付近でキルギスの若手劇団「メエスタD」の公演。おもむろに包帯グルグル巻きの戦傷者を担いで兵士がよろよろと歩いてきました。インパクトのあるオープニングです。少し遅れて看護班の女兵士。公園を戦場に見立てて逃げ惑います。特に何が起こる訳でもありませんが、シンプルで力強いアイデアでした。

爆竹を鳴らし、それを銃声として緊迫した演技を続けます。啞然としました。なぜならここはアラトー広場です。ついこの間の革命で実際に銃声が響き、80余名が亡くなった場所です。公園で週末を楽しんでいた人々も一瞬凍りつきました。お構いなしに走り回る俳優。

途中一つだけ小さなドラマがありました。偵察にでた兵士が花を見つけて一輪摘み、気付かれないように女性兵士のリュックに差しました。終盤になってふと気付いた女性兵士が子供のようにはしゃぐというただそれだけのシーンです。いいシーンだと思いました。

ミエスタD

最後は出発点まで戻りストップモーション。スタッフが3人の俳優に大きな紙を巻き付け、スプレーで「ビズ・エル・メネン」と書き、最後に大きく「?」を付けました。「ビズ・エル・メネン」は革命の際に町中に書かれたスローガン。意味は「すべては民衆のため」。それに「?」をつけた訳です。

終演後、昼食に誘われてついていきました。郊外のカフェでカザフの演出家たちと世界中の映画の話。

急に土砂降り。

私とウズベク人演出家エヴァだけ先に人形劇場へ行くことになり、車中エヴァと談笑。「日本語でプリパダバーチェリはなんて言うの?ここに書いて。」というので縦書きで「教授」と書いてやりましたが、「師匠」「先生」等の方がよかったのでしょうか。更に「エヴァはどう書くの?書いて!」とせがまれ、カタカナで「エヴァ」と書くとずっとはしゃいでいました。

人形劇場では再びキルギスドラマシアターの公演。台詞劇。全編悲しみに満ち、泣き通しの作品。会場からは嗚咽が聞こえました。キルギス語であるため十分に理解できませんでした。申し訳ないです。

翌日。最終日。

10時にアラトー映画館前広場。また誰もいません。ジャルパットに電話すると10時の演目は中止だとのこと。油断も隙もありません。結局トルコやイランの劇団など来ていないようです。

午後はシンポジウム。人形劇場へ。ホールではキルギスドラマシアターの劇伴によるコンサートが行われていました。それが終わるといきなりアナウンスがあって紹介され、壇上に上げられました。プロジェクターがあるというのでいろいろ資料も持ってきたのですが、何もありません。しかもシンポジウムではなくて、私の講演でした。質問に答えながら進めて行くと行政と演劇の話がメインになり、自分の演劇の話もできず時間切れとなってしまいました。私の方から何も質問できず非常に残念でした。

その後、国営放送のプロデューサーの車に乗せてもらってロシアドラマシアターへ。この車がオンボロでした。エンジンをかけるときはボンネットを開け、内と外で2人がかり。後部右側のドアは壊れていて中から開けられません。「日本にはこんな車ないよね?」とプロデューサーは大笑いしています。

再びロシアドラマシアターのマールイ劇場へ。フェスの最期を飾るのはキルギスドラマシアターでした、全くの無言劇。タイトルは「犬とパン」。

「犬とパン」

舞台後方にヤクート族の住居があると思ったのですが、これもキルギス民族のものだそうです。チュルク系民族として繋がっているんですね。とっても美しい女性だといろんな人から評判を聞いていた女優は、クラクラするほど美しい長い髪で、演技の良し悪しをすぐには判断できませんでしたが、存在感は十分でした。

終了後、戦争の野外劇を行った「メエスタD…」の女の子に連れられ、彼らの劇団部屋に行きました。路線タクシーの中でのハプニング劇、銅像に扮したパフォーマンスなど、彼らの過去の公演はなかな面白そうでした。